Illustrator（イラレ）の画像トレースの方法を紹介！
Illustrator（イラレ）には、画像や手描きのイラストなどをなぞってトレースできる機能があります。簡単な手順で、用途にあわせてさまざまな画像トレースが可能です。この記事では、Illustratorにおける画像トレースの意味や方法について解説します。
※本記事ではIllustratorバージョン28.7.2を用いて説明を行っています。
～目次～
Illustrator（イラレ）における画像トレースとは
トレースとは「なぞる」や「写す」を意味する言葉で、Illustrator（イラレ）においては画像やロゴの線をなぞってベクターデータに変換することを指します。
画像や写真は基本的にラスターデータと呼ばれる状態になっており、拡大・縮小などの変形を繰り返すとピクセルがぼやけて、画質も粗くなってしまいます。トレースによって画像をベクターデータに変換することで、どれだけ拡大や縮小をしても画質が劣化せず、色の変更やサイズ、パーツごとの編集も簡単に行える「パス」という状態になります。
手描きのイラストやロゴの写真などを、印刷物やWEBなどで使う正式なデータに作り変えたい場合などに活用できる機能です。
Illustrator（イラレ）を使った画像トレースの手順
画像トレースには大きく分けて2種類の方法があります。Illustrator上に備わっている「画像トレース」の機能を使えば、自動でトレースが可能です。より正確なトレースを行う場合は、手間はかかりますが「ペンツール」を使う方法もあります。
ここでは、それぞれの画像トレースの手順を紹介します。
1．トレースしたい画像をIllustrator上に配置する
まずは、トレースしたい画像をIllustrator上に配置します。Illustratorの外部からドラッグ&ドロップで画像を読み込ませるか、「ファイル」＞「配置」で画像を選びましょう。
2．「画像トレース」ボタンでトレースを実行する
配置した画像を選択した状態で、画面上部のコントロールパネルある「画像トレース」のボタンを押すと、画像が自動でトレースされます。（画面上部の「オブジェクト」＞「画像トレース」＞「作成」でも同じ操作が可能です。）
なお、画像トレースパネルを使うと、トレース結果を細かく調整できます。画像トレースパネルは「ウィンドウ」＞「画像トレース」から開くことができます。
以下のような画像トレースパネルが開いたら、トレース画像の状態を調整していきましょう。このとき、パネル下部にある「プレビュー」をチェックしておくと、仕上がりのイメージがわかりやすくなります。
各項目を実際の画像の変化を見ながら調整します。画像トレースボタンを使わずに、先にパネルを開いて編集することも可能です。その場合は、調整が完了したら「プレビュー」のチェックを外し、パネル内の「トレース」ボタンを押しましょう。
3．「拡張」をしてトレース画像をパス化する
画像のトレースが完了したら、選択した状態でコントロールパネルにある「拡張」のボタンを押しましょう。これで画像の拡張が完了し、トレースは終了です。
なお、拡張後はパスの数が多くなり、データ容量も大きくなりがちです。最適化されたシンプルなパスにしたい場合は、「オブジェクト」＞「パス」＞「単純化」から、自動で調整できます。
ペンツールを使ってトレースをする方法
自動の画像トレースでは、画像によっては思った仕上がりにならない場合もあります。より正確なトレースをしたい場合は、「ペンツール」という機能が使えます。
トレースしたい画像をIllustrator上に配置するところまでは同じです。次に画面左のツールバーから「ペン」を選択し、画像を上から直接なぞるようにアンカーポイントを1つずつ作成していきましょう。最初のポイントまで戻ってきたら画像を形どったパスが完成です。
ただし、自分で点を打って線をつないでいく作業なので手間や時間がかかるうえに、慣れていないとうまくできない可能性もあります。簡単な画像やロゴで練習をしたり、自動トレースとうまく使い分けたりするのがおすすめです。
画像のトレースができないときの確認ポイント
上記の手順で進めても画像のトレースがうまくできない場合、主に3つの原因が考えられます。
1．オブジェクトやレイヤーのロックを解除する
オブジェクトやレイヤーがロックされている場合、画像自体が選択できないため、画像のトレース作業もできません。「オブジェクト」＞「すべてのロックを解除」を選択、もしくは「レイヤーパネル」にある鍵アイコンをクリックしてロックを解除しましょう。
2．画像のグループ化を解除する
トレースしたい画像がグループ化されている場合もトレースできません。他のオブジェクトや画面外のオブジェクトなどとグループ化していないか、確認してみましょう。グループ化の解除は、対象のグループを選択して「オブジェクト」＞「グループ解除」から可能です。また、グループオブジェクトをダブルクリックして、グループ編集モードに切り替えた状態でも画像トレースが適用できます。
グループ化解除のショートカットキー：Ctrl＋Shift＋G
3．クリッピングマスクを解除する
画像にクリッピングマスクがかかっていることでトレースができないというケースもあります。この場合、画像を右クリックして「クリッピングマスクの解除」を選択してからトレース作業を行いましょう。また、ダブルクリックして編集モードに切り替えた状態でも画像をトレースできます。
まとめ
Illustratorの画像トレースは自動で行えば操作は簡単です。複雑な画像でなければ手軽にベクターデータを作成することができ、ロゴやイラストデータとして使いまわせる状態にできます。トレース結果を調整したりペンツールを利用したりすれば、より精度の高いトレースも可能なので、実際に調整して自分にあった方法を見つけてみてください。
